東日本大震災における新幹線電車の挙動について
例の大地震のときに新幹線電車はすべてが無事停止できました。
この検証は非常に重要なことです。停止できた理由としては
早期地震検知システムが作動し、大きな揺れが来る前に速度を下げることができた。
ブレーキにセラミック樹脂を散布することで摩擦抵抗を大きくし効きをよくできた。
脱線逸脱を防止するガイドを車両に付けていたため、脱線しても転覆しなかった。
等が挙げられていました。
2012年2月22日に交通協力会主催の鉄道の将来展望というシンポジウムが開催され
JR東日本の林康雄氏からその一部が紹介されました。
それによると20数本の列車のうち停止列車を除く約10本の列車は、
早期地震検知システムによりそれぞれブレーキが作動し停止できましたが、
270km/h走行の列車でも本震が到来したときに時速100km以下までに速度が低下していて
4kmあまり走って停止できたとのことです。
ただし今回の地震は120秒ほど続き、その中で大きな揺れは70秒後に到来したこと、
したがって100km/h以下の速度まで低下できていたのだということが明かされました。
兵庫県南部地震では20秒後くらいに大きな揺れが来ていたとのことですから、
地震の様態により被害の程度は相当違う可能性があります。
今回の地震で早期地震検知、ブレーキシステム、脱線逸脱ガードがうまく協調できましたが、
大きなゆれがもっと早く到来すれば違った結果が引き起こされていたかも知れません。
また脱線逸脱防止ガードも脱線がなければその挙動も確かめられませんでした。
(回送電車が脱線し、それはガードにより軌道を逸脱しないで済んだとのことですが。)
つまり今回でよかった、大丈夫だではなく、引き続きよりよいものに改善を図ること、
これこそ次世代に引き継ぐべき教訓だといえそうです。