ワインラベル

 

 

このラベルは絶版になり,別物に取って代わられました。残念!

このたび某所から、とは言ってもモノを見てもらえば分かりますが、
ワインラベルの制作依頼を受けました。
無料奉仕ですが私としては「げいじゅつに関する受注」という大仕事です。 
ワインそのものに薀蓄があるわけではなく
ましてそのラベルにも関心はありませんでした。
頼まれたワインの銘柄はもともとそれなりのものではあるようで、
甲州ブドウによる、にごりワイン「ひとみ」というものだそうです。
ラベルを張り替えたうえで特別な行事や接待などに使います。
とはいうものの1500円で誰でも購入できます。

これまでのラベルは建物の絵など具体的なイメージです。
そこで少し趣きを変え「研究所の精神性」を出してみようと考えました。
研究するところなら知恵をもっと出してほしい。
そのために、知恵の女神ミネルバ(アテナ)にお出まし願うこととしました。
ネットで調べたら、イギリスのバースにある博物館(世界遺産だそうです)に、
ローマ時代のミネルバの頭部像があることが分かりました。
1700年代になり発掘されたそうですが、
絵画などに見られるよりいかにも女神という感じがし、
これを使わせてもらうことにしました。
そのままでは具合が悪いのでペン画で書き直しました。
またミネルバにはふくろうが付き物だというので
これはマンガチックに描き、片隅にとまらせました。
おおよその配置と色調を考え、友人のデザイナーに少々お手伝いを願って
かくて図のような三代目ラベルが出来上がったというわけです。

注文主には以下のような注釈をつけて提供しました。


 ワインラベルの制作にあたって

このたび光栄にも表記の作業を承りました。
従来のラベルがリニア車両や本館建物だったのに対し、
鉄道総研の真髄であるべき研究そのもののイメージを
抽出、表現できないものかと考えました。
その結果、女神ミネルヴァに思い当たりました。
ローマ神話に出てくるミネルヴァは、周知のとおり知恵の女神であり、
同時に戦略の女神でもあります。
頭にはかぶとを着け槍を持ち、聖鳥ふくろうを従えています。
神話ですからモデルは想像の世界にしかないわけですが、
イギリスはバースにある、ローマン・バース博物館に
金箔ブロンズ像の頭部が現存し、
それをモチーフにしてペン画で表現しました。
ローマ時代のものですが1727年に発堀されたといいます。
一方ふくろうの方は全くのマンガで、
女神の端正な横顔にちょっぴりユーモアを添えたつもりです。
夜行性でもあり、背景色は従来の明るいものと対象に暗い色になりました。
赤ワインにどう映るか、若干気になるところです。
ミネルヴァであれば外国のお客様にも、
その意味するところが直ちに理解できるでしょう。
イギリスからの出土なら鉄道発祥の地で、似つかわしいとも思います。
女神のご加護による知恵と戦略により、
鉄道総研からすばらしい成果が続出することを切に願ったつもりです。


最初のラベル
二番目のラベル
ミネルバのスケッチ
ふくろう

 





|自己紹介|美術リンク |二人展||グループ虹 |R展 |八王子画廊散歩 |鉄道|
|その他の作品 |市美術展 |日本デザイン史|創造の現場 |詩歌|環境|写仏|俳句|
|ドミノ|随筆|回文|ライユ展|日美展|ラインライト|デッサン|季節の花|更新履歴|